貸切バスにシートベルト着用義務はある?法律や正しい着用方法を解説
公開日:2024年12月27日 2025年01月08日貸切バスは、団体旅行や社員旅行などさまざまなシーンで利用できる便利な交通手段の一つです。貸切バスを利用する際に忘れてはならないのは、シートベルトの着用です。
高速道路や一般道路に関係なく、シートベルトを着用しなければなりません。マナーではなく法で定められているため、着用義務を怠った場合は法令違反となります。
本記事では、貸切バスにおけるシートベルト着用の義務や未着用によるリスク、正しい使い方を解説します。法令を守り、安全にバスを利用しましょう。
貸切バスや高速バスはシートベルトの着用義務がある
貸切バスと高速バスは、シートベルトの着用義務があります。2008年に改定された道路交通法により、マイカーやタクシー、バスなどあらゆる車両を対象に、すべての座席でシートベルトの着用が義務化されました。
高速道路や一般道など、走行場所に関係なくシートベルトを着用しなければなりません。特に高速道路を走行する際は、事故のリスクや衝撃が大きいため、シートベルトの着用が重要視されています。
シートベルトの着用が義務化されたものの、2012年に「関越自動車道高速バス居眠り運転事故」、2016年には「長野県軽井沢町スキーバスツアー事故」など、大きな事故が発生しました。これらの事故を通じて、各バス会社は乗客にシートベルトの着用を促す取り組みを強化しています。
シートベルトの着用が義務ではないバスの種類
シートベルトの着用が義務ではないバスの種類は、以下のとおりです。
11名以上が乗車する路線バス
11名以上が乗車する路線バスは、シートベルトの着用義務はありません。道路運送車両の保安基準第22条の3で、明示されています。着用義務がない主な理由は、以下のとおりです。
低速運行することが多いため
路線バスは、主に市内や住宅街を低速で運行することが多く、事故のリスクが比較的低いと考えられているため、シートベルトの着用義務がありません。乗客の安全を守るため、発進や減速も静かに行い、カーブをする際には車内アナウンスで乗客に警告することもあります。
路線バスは、シートベルトの着用義務はありませんが、別の手段で乗客の安全を守っています。
短距離移動を目的としているため
路線バスは、短距離移動を目的としており、座席数も制限されています。すべての乗客が長時間座席に座ることを前提としていないため、シートベルトの着用が義務化されていません。
また、路線バスは短い運行距離で乗客の乗り降りが必要です。乗降するたびにシートベルトを着脱すると、時間がかかり運行効率が悪くなります。スムーズな運行をするためにも、シートベルトの着用が義務化されていないといえるでしょう。
立ち乗りが想定されるため
一般的な路線バスでは、乗客が立って乗ることが想定されるため、シートベルトの着用が義務化されていません。混雑した路線バスでは立ち乗りが一般的で、立っている乗客にシートベルトを着用させることは物理的に不可能です。
立ち乗りする場合は、つり革につかまるなど、乗客が安全意識を持つことも大切です。
保育園・幼稚園バス
保育園や幼稚園の送迎バスも、シートベルトの着用義務がありません。先述した路線バスの条件に加えて、交通事故件数が比較的少ないことや、幼児がシートベルトを着脱する際に時間がかかること(もしくは自分で着脱できないこと)などが理由です。
これまでは子どもたちの安全を確保するために、座席後面の緩衝材の追加や座席の高さの変更が促進されてきました。国土交通省は、幼児用座席に適したシートベルトを2026年度を目途に市場投入することを要請しています。そのため、今後は幼児用バスにもシートベルトの装備が進むことが想定されます。
参照:報道発表資料:幼児用バスにもシートベルトの装備が進みます!|国土交通省
シートベルトの着用義務を怠った際のリスク
シートベルトの着用義務があるバスで、着用義務を怠った場合のリスクは以下のとおりです。
事故時のケガのリスクが高まる
シートベルトの未着用は、事故時のケガのリスクを大幅に高めます。シートベルトは、事故が発生した際に、衝撃や車内での二次衝突によるケガを防ぐ重要な役割を果たしているためです。実際に、シートベルト着用時と非着用時の致死率は、以下のように大きな差があります。
シートベルト着用者 | シートベルト非着用者 |
---|---|
致死率 0.16% | 致死率 2.30% |
車外放出時の致死率 1.3% | 車外放出時の致死率 18.5% |
国土交通省のデータによると、シートベルトの未着用は、高速道路で約9倍、一般道を含めると約14倍も命の危険性が高まります。シートベルトを着用することによって、車外に放り出されるリスクも減ることが分かっています。
参照:貸切バスのシートベルトの着用徹底について |国土交通省
乗客に罰則はないがバス会社が行政処分を受ける
シートベルト未着用で摘発された場合、乗客に罰則はありませんがバス会社が行政処分を受けます。バス会社は、乗客の安全を守るためシートベルトを着用させる義務があるためです。バス会社が乗客の安全を守る義務には、出発前にシートベルトの着用を促すアナウンスや、掲示物による注意喚起も含まれます。
乗客がシートベルト未着用だった場合、バス会社が適切な安全管理を怠ったと見なされる可能性が高くなります。バスの利用者は、自身が罰則を受けなくても、事故時のリスクが高まることを理解し、シートベルトを着用しなければなりません。バスに乗車する際は、運転手や添乗員の指示に従いましょう。
シートベルトの種類
シートベルトの種類は、以下の2種類です。
2点式シートベルト
2点式シートベルトは、腰(骨盤)を固定するタイプのシートベルトです。ベルトは2点(取り付け部分が左右2ヶ所)で支えられているシンプルな構造です。
腰部分だけを固定するため、事故があった際は上半身が大きく前に倒れやすく、頭部や胸部の衝撃を防ぐ効果は3点式と比較すると低いとされています。
バスに設置されているシートベルトの多くは、2点式のタイプです。最前列の座席は、急ブレーキの際に飛び出しを予防するため、3点式が設置されています。
3点式シートベルト
3点式シートベルトは、腰(骨盤)と肩(胸部・上半身)を固定するタイプのシートベルトです。ベルトは、左右の腰と肩の3点で支えられています。胸部や上半身も固定されるため、2点式と比較すると安全性が高いとされています。
前述したとおり、貸切バスの多くは2点式が主流です。ただし、マイクロバスは2012年の道路交通法改正によって、2012年以降に製造されたマイクロバスには3点式ベルトが採用されています。2012年以前に製造されたマイクロバスは2点式シートベルトですが、法令違反ではないので問題はありません。
シートベルトの正しい使い方と注意点
シートベルトの正しい使い方と注意点は、以下のとおりです。
【シートベルトの正しい着用方法】
- シートに深く腰掛ける
- ベルトがしっかりフィットするように装着する
- 腰ベルトは、骨盤を巻くようにしっかり締める
- バックルの金具を確実に差し込む
【シートベルトを着用する際の注意点】
- 3点式シートベルトの場合は、ベルトが首にかからないようにする
- ベルトがねじれないように装着する
シートベルトを正しく着用することで、事故が起きた際の被害を大幅に軽減できます。
まとめ
貸切バスでは、シートベルトの着用が義務となっています。シートベルトを正しく着用することで、事故が発生した際の被害を大幅に軽減できます。
着用義務を怠った場合、利用者が罰則を受けることはありませんが、バス会社が安全管理を怠ったとして行政処分を受けます。自身の安全を守るためにも、バスに乗車する際は運転手や添乗員の指示に従いましょう。
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